「全て捨て去って捧げる勢いでデザイン案を描いたんだよ〜?
寝食忘れて、被服室に籠城して、いっそ被服室に住み込んで、
何日も何日も描いては相応しい布を選び切って縫って飾り立てて!!!」
その頃の情熱を思い出したのか、シメオンの間延びした声は
低音からどんどんと甲高くなっていく。
結局、何十着と試作して並べたところで、それを身につける様を妄想したところでアノザマコノザマということらしい。
「心残りは、その時に作った衣装が中途半端な出来だってことなんだ…
どうにかこうにかその衣装を完成させたい!!
そして僕のミューズに相応しい衣装を選び出さないと!!!
……よかったら手を貸してくれるかな?
衣装を見つけたら、好きに弄ってくれていいよ。
僕はこの通り霊体だから、どこへでも見に行くよ〜」
その後小一時間、推しの素晴らしさを早口でまくしたて始めたが、
明之進が見かねたのか、校内放送は途中でブツリと切れた。
(#4) 2020/05/23(Sat) 01時頃