人狼議事

241 線路上の雪燕


重ね合せ猫のユニタリ変換 (村建て人)

––––––––All aboard!

10時17分。
老齢の車掌の、猛禽の勝鬨の様な発車合図と共に、ジリジリと激しいベルが鳴り響いた。
喧しすぎる程のそれは、乗客達の為の物でもある。
不意の発車に蹌踉めき倒れたり、飲み物など零す者が居ないように。
人をいっぱいに詰め込んで尚、構内は騒がしい。
旅人を見送る人々の挨拶や嗚咽、車窓越しにしつこく軽食や新聞を売りつけようとする売り手達の掛け声だ。

車輪はゆっくりと回転を始める。
走り出した雪燕の乗車口に慌てて飛びつき、乗り込もうとした誰かが居たならば
車掌は”足を切断しても知らないですよ”と咎めつつもその手を引き、無事に乗せてやるだろう。

「全く甘いんですから。じいや…じゃなくて、車掌ったら」
「何だ、叩き落とされたいかい? 君ったら。」

乗客の1人の言葉を冗談に混ぜつつ。
彼らは幾つかの指差しを行い、チェック表を埋めていく。
「不自然な空席が少数」…との走り書きは、検札を終えてから書かれた物。
然れど誤差の範囲内、冬の冷え込みで体調を崩す旅人など星の数ほど居るのだから。

(#0) 2015/11/29(Sun) 00時頃


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