―時代劇番外編―
[まだ若いながらも侮れぬ忍が隣国に居ると知ったのは、
何時のことであったか。>>*302
戦場を偵察しに行ったその帰り、闇に紛れて襲い来る影。
向けられし苦無を、同じく苦無で受け止めた。
隻眼の己は、元々視覚よりも他の感覚に頼っていたが、相手はそうではないのに、ぴたりと正確に刃を向けてきた。]
――面白い。
お前、名は?
[低く笑い、名を尋ねたその状況は、互いの首に苦無を当てあうという不穏な物であったが。名を聴けば、そうかと頷いて。]
……「鳴神」だ。また会おう。
[助太刀に来た仲間が煙玉を投げるのに気づいたから出来た芸当だった。それがなければ、どうなっていたことやら。きっとまた、その忍とは出会う予感がしていた。
まさか、それが数カ月後、己が捕縛されることによってだとは、予想していなかったが。**]
(*307) mikanseijin 2015/01/16(Fri) 01時頃