―残暑の夕暮れ―
[元気になったとはいえ、動きまわるのはタバサの家の中と、庭先だけ。キャットタワーやら障害物やらを登っていく辺り、体力も体調もすっかり元に戻ったと思われるのに、白黒の猫は外に出ようとはしなかった。]
[それ故に、外で囁かれる、自分が拾われた家に住むホレーショーの放蕩っぷりの噂を知ることもなかった。元々、この家は縄張りの範囲に入っていなかったから、ホレーショーのことは「ライオンのような絶倫猫がいる」と噂で聞いていても、ホレーショーがそのライオンだなんて知る由もなかった。もし知っていたら、もうちょっと己の行動について慎重になっていたかもしれない。>>*204]
……こんなこと、頼むなんて、どうかしてるし。
あ、嫌ならもちろんいい……
[繕うように言った言葉は、覗きこまれて途中で切れた。>>*206]
(*225) mikanseijin 2015/01/15(Thu) 14時半頃