[解かれた髪が背中を流れ落ちる。
切羽詰った声は快楽の色を押し殺しているのが、逆に劣情をそそることをきっとわかっていない。]
り………っ、 ん、
[いつの間にか聴覚を塞ぐ檻は外されていて。
耳孔に吹き込まれる湿った吐息に、ぞわりと肩が跳ねる。
頭からずり落ちた掌が、縋るようにしがみ付いてきた気配と。傾いで腕の中に落ちてくる身体とに、肌に這わせた掌を一旦止め。
フードを掴んでいた手を緩めて腕の中へ。]
そろそろ、観念するかい?
[笑いながらの問いへの返事は、耳朶に走る鈍痛。
諦め悪く、振りほどこうともがく右手首を捕らえて背中からベッドへと倒れ。
素早く身体を反転させれば、組み敷いてしまおう。
体重をかけて圧し掛かり、体勢を整えられる前に両脚の間を割り、身体を捻じ込む。
縛りを失った髪が、肩から彼の上へ滑り落ちた。]
(*29) SUZU 2015/11/14(Sat) 18時半頃