[確かに聞こえていた。一人の男のその名前>>*2。
それが意味するのは、此処にはもう人間の少女と男と、人狼の少女と男しか残されて居ないということ。
――男がたったひとりで刃向おうとする、その人狼たちのこえが聞こえる。
今まさに少女の人狼に害を為さんとするサリスは、ミドルが告げたその言葉>>*3に、自身への宣告が含まれていることを覚っていた。
それだけなら、ただ、何も言わずに聞いただけだった。]
なにを。 いまさら、
[リヒトの「お気に入り」。
そうも告げたミドルに返す、そのうつくしい獣のこえ。
サリスのこえは、震えることなく。けれど、零れていた。]
あァ。あんたは。
慣れたんだろ。ひとり、に。
[全てを、メアリーをも喰らい尽くすと告げてきた男の。
その「意志」ということば>>*6聞きながら、また、短く零す。]
(*9) sakanoka 2013/02/09(Sat) 00時頃