まぁ、そう怒らないでくれたまえ。
市井に蔓延る礼節には今一馴染めない。
[ほんの少し緩めるリボンタイが布擦れの音を起こし、
端々に噛みつく色が見える彼は、一次元程近づいた気がする。
彼の身を淡く燻らせる毒を盛った不敬者は、
態度はともあれ歓待を示す彼に首肯をひとつ返す。>>*0
そっと向けた足が削る距離は、寝台の彼を追い詰めるに似て。]
しかし、どう見ても君が潤沢な性経験を持つようには見えない。
神の子を作ると云う神聖な儀式を、
血生臭い代物にはしたくはないだろう?
[失礼な物言いは、彼が持たず、己の身には染み付く傲慢。
存外、純朴そうな彼とは生まれも育ちも異なり、
酸いも甘いも嚙み分けてきた慧眼からの指摘。
おもむろに彼の肩に掌を添え、自重を掛ければ視界を回そう。
真っ白な天井は、処女が数えて気を休める染みもない。]
(*6) 2015/11/12(Thu) 01時頃