[彼の翼を見るのは随分久しい。
淡い照明の中、昼とは違う輝きを零す銀髪を視界に収め、席への案内を承るのはいつもと違うウェイター。>>*1
ぎこちなくも仕事をこなす彼に後で酒でも奢ってやろうと思考の片隅にメモを置き、だがもしかしたら給料アップの方が嬉しがられたかもしれない。
普段程忙しくない夜の店内。これぐらいなら彼にも回しきれるだろうと、今日のホールは全面的にお任せの姿勢。
だが一人でフォローしきれなくなって来たのなら、店長自ら配膳を行ったりするのだが。
彼らのテーブルから酒の注文は無い。
開店前、厨房担当のケイ店員に「アペリティフって何がいいかな?」なんて数本の酒瓶を出して相談したりもしていたのだがそれも特に必要無かったようで、持ち込みされた酒の銘柄とそれにあった料理のオーダーを厨房に伝えただろう。
持ち込み料は特別に取らない。
ヴェスパタインにじゃない。トレイルに免じて、だ。
まあ何パーセントかはヴェスパタインに対してと言うのも混じっていたのだけれど、自分からの祝福は二人で過ごす静かな一時に変えて、しつこく騒ぐ客を窘めた。]
(*3) 2015/08/10(Mon) 12時半頃