─閑話・柔らかな寝床>>67─
[むにむにとした不定形生き物の寝床は、専用に誂えられたものではなく、空き部屋のひとつ。
咎められないのをいい事に使い始めたが、元々店員用として整えられていないので、家具はおろかベッドすら無いような場所だ。
だが、その分他の部屋よりも場所は広く感じることだろう。
むにむにを甘やかす店員から差し入れられた、マットレスに沢山のクッションと柔らかな毛布。
マスターから貰った給料代わりのお酒の瓶と、とっておきの食べ物が入った袋がいくつか。
その他にも、誰かが持ち込んだなにかしらの物品。
部屋にある物は大体そんなところだ。
訪ねてきた姿に困惑することが無かったのは、むにむにを堪能しに来る人々が>>@15いないこともないからだ。
開かれた扉の入り口で、静かに佇んでいた彼は恐らくそういう手合いではなさそうではあったが。
不定形の体しか持たないむにむにの感性は、そういう部分では得てして鈍い。]
(@39) 2022/08/08(Mon) 03時頃