[その時も、他に人と出会っただろうか。今の彼ら彼女らと同じように、出口を探したり、この空間に違和感を抱いたり、おなかがすいて、食料を探しに台所へ向かいもしたかもしれない。
けれど、扉も窓も開かない空間で。
目覚めた時にそうだったように、自分にはひたすら安堵しかなかった。
疲れていた。もう、此処しかないのだと思った。
……不思議に、この場所では話すことが出来たから余計にだったかもしれない。
発話を求める視線が突き刺さることもない。居心地が良かった。
時折胸を刺すように、あの頃の記憶が蘇る。
どうしたら良かったんだろう。今も分からない。
だけど、もう戻れない。戻らない。
だから暗い影は、波のように打ち寄せては消えてゆく。
そして、また眠る。起きて、声を確かめる。そんな繰り返しだ。
日向あおいは、今も、此処にいる。*]
(@19) 2015/02/07(Sat) 21時半頃