[北仲や千秋と、食事の話を交わしたせいだろうか。
須藤の抱える事情──自分の予想の外の事柄に、どこか覚束なかった胸の内が少し晴れたようで、進む足取りは先程よりも軽く感じた。
不思議だな、と思う。
些細なことで、あがったり、さがったり。
心の中が、とても忙しい。
そんな感覚は本当に久しぶりだった。
──だって、此処には何もない。
緩慢とした安寧は約束されていても、心を浮き沈みさせるようなものはない。
窓の外を見てみたって、変化のない昼と夜との狭間が広がっているだけだ。>>170>>171
……最も、何もないから、自分は此処を選んだのだけれど。
そんなことを思いながら、廊下を進む。
いつの間にか、廊下の突き当りの方まで来ていたらしい。
ここから先には、お手洗いぐらいしかなかったはずだった。
思いながら、角を曲がる。視線を前方に向ければ、]
(@16) 2015/02/05(Thu) 23時半頃