―館の奥より―[ ――忽然と ][ しかして悠然と ][ あまりに当然と][ “其れ” は在った。彫刻めいて整った白皙の美貌の男――の、姿をした、“ 存在”]――――、……[桃花心木の椅子に腰掛けて、長い足を組んでいる。いつからか館に漂うえもいわれぬ香りは、彼―そう、便宜上“ 彼 ”と呼ぶ―が傾けている白磁に金色の装飾が施されたティーカップに湛えられたものからのものであるらしい。静かに、愉快そうに唇の端を上げて、白手袋の指先で、闇よりなお深いシルクハットのつばを軽く持ち上げる]
(@14) 2014/06/06(Fri) 09時半頃