……私、帰らない。
[慎重に言葉を選ぶ。
"帰れない"ではなくて、自分の意思で"帰らなかった"。それは事実でもあり、ほんの少し虚勢も混ざっていたけれど、そこはどうか見逃してほしい。
思いながら、扉へと視線を向けた。寒々しいほどに真っ白いのに、凛とした空気さえ感じるそれは、どこか冬に似ている。]
……扉、開いたよ。
[ふと、思い出す。
多く会話を交わしたわけではないけど、何かの拍子に彼女の事を「カッコイイな」と思った。>>1:@14
──この扉を、いっそ頑なな程にきりりと姿勢を正して、光の方へくぐり抜けてゆく。
そういう彼女の後ろ姿を、想像してみたら。
それは、たぶん、とてもカッコイイ。そう思った。]
帰れるよ、北仲さん。
[……掴まれた手を、そっと外すように身を引いた。*>>109]
(@13) Maki_hinata 2015/02/12(Thu) 19時半頃