[説明を、と求めれば、梶はあっさりと軽い声音で、端的に答えを返す。>>28
──それは、自分への説明というよりも、神鳥への嘲りを多く含んだものであるように思えたけれど。]
……妊娠?
[耳が確かに拾った「妊娠」という単語の意味が、脳裏に届くまで少々の時間を要した。
薬物。そして、妊娠。
悩みに優劣や貴賎はないが、それにしたってあまりにも自分に縁のないものを続けざまに目の当たりにしている気がする。
梶のケラケラと笑う声が、静かな廊下に響く。それが、やけに耳についた。
……この状況で、この人はまだ笑えるのか。
苛立ちや憤りと言った感情よりも、ただ不思議に思う。
きっと、人よりずっと洞察力があるひとだ。人も状況も、よく見ている。自分からみた梶の印象は、そんな人間で。>>0:@6>>0:@10
だからこそ、なお。
投げる言葉のナイフにも似た鋭利さは、他人に突き刺さって、──どんな形で自分に返ってくるか分からない筈はないだろう。
それを、いっそ軽やかめいた笑いに変えてしまえる、その根底にあるものが、不思議に思えて仕方なかった。]
(@2) 2015/02/06(Fri) 20時頃