―二年前の春、入学式―
[中学の学区からさほど遠くない高校を選んだら男子校だった。
そのこと事態に不満は無いつもりだったけれど、実際男ばかりいる教室はむさ苦しい。
そのクラスには知っている顔がちらほら、最初はどうしてもそことつるんでしまうのは仕方の無いことだろう]
「あいつ、イケメン王子(笑)じゃねぇ?」
「まっじか、リア充爆発しろし」
[ひそひそと教室の隅から聞こえる声。そういえば、卒業前にジョシがそんな話をしていたような気がした。「ナントカ王子と一緒の高校がいいよねー!」男子校に居るっていう事は、それは叶わなかったのだろう、ざまあみろ。
そんなことを考えながら斜め前の席の、王子をぼんやり眺めていた]
あーでも、キレイなんじゃね?
[女子が騒いで、男子がやっかむぐらい整った顔。さらさらな髪に温和そうな表情、意外と肌が白い。その日から始まった観察は、席替えして見えなくなるまで続けられた。
その後たまたま入ったゲーム部で遭遇して、普通の男子と同じ中身を知ることになって。
ギャップに胸が妙な鼓動を打ったりした、のはもう少し後の話*]
(-2203) meiji 2011/05/29(Sun) 00時頃