─ IF・この船には人狼が乗っている ─
[襲撃した船の乗員と、不要になった捕虜、船の掟を破った輩は、喰らっても構わない。
もし、この船から他人を屈服させる畏怖が途絶えたならば、其の時は容赦なく牙を剥く。
航海士の口利きを受け、その条件で、赤銅色の体毛を持つ獣が、この絶望の船───デセスポワール号に乗ったのは、およそ1年前のこと。
当時から寡黙は変わらず、他者と積極的に関わろうとすることもない。
日々マイペースに、戦闘のない時などは、船首楼か船尾楼でうたた寝をしているのが常。
だがその日は、何か重いものを甲板に叩き付けたような音>>0:4に微睡みを邪魔され、ブワリと毛を逆立てて飛び起きた。]
───!!
[見ればまた、あの副船長だ。
あの男の気質や実力は、たいそう気に入ってはいるのだが]
……荒いな。
[甲板が傷む。
またリーやジェレミーが嘆きそうだと、ぼんやり明後日のことを考えながら、再び、微睡みに落ちようとした。]
(-1172) nordwolf 2014/12/19(Fri) 03時頃