―― if:10年後どこかの村 Lucas Guazzo ――
[息子の手を引きながら妻の待つ家へと帰路を急ぐ、時折こちらを見ては笑いかけてくる短く色素の薄い金髪を揺らすのは初夏の風
『アレ』が死んでからもう10年が経とうとしていた。]
[人狼騒動で死に至ったジェニファーが残した私と彼女の大切な我が子だった。
誰も私のことを知らないあの村で大切に育てようと思っていた筈だった。
あの日が訪れなければ、今も杖をつきながら私達と歩いていたのかもしれない。
そう思いを馳せても叶わないこと――『アレ』は占い師だったのだから。]
[憎かった、人狼を見つけられないままジェニファーを身代わりにおめおめと生き延びた占い師が。
村の為に自らの命を危険に晒している、形だけはそんな態度を取るあの男が。
仕方ない、殺したのは人狼?ふざけるな、あいつが彼女が人間だなどと分かりきったことを言わなければ殺されることなど無かったのだ。]
(-517) erla 2013/08/07(Wed) 08時頃