―― if・あの日死んでなかったら ――
[投票を終えて真っ直ぐに帰路につきながら、教会で声をかけた新聞配達の男のことを考える。果たして彼は現れるだろうか、やはりお節介だったろうかなどとぐるぐる思考の渦に囚われていたらあっという間に風車小屋が見えてきて]
着いちまったな…
[ドアノブに手をかけようとしたところですぐ側の草むらに人が横たわっているのが見えた]
(病人か…!?)
[慌てて駆け寄れば、そこにいたのは件の男で]
お前かよ……
[ほっと胸を撫で下ろし、屈んでまじまじと見つめれば、自らの身体を守るように丸くなる彼がなんだか幼子のように見えて。男はふ、と口許を弛めると]
風邪引くぞ。
[声をかけても一向に起きる様子がないので、男はよいしょ、と彼を肩に担ぎ、今度こそドアノブに手をかけたのだった]
(-494) kotsuma 2013/08/07(Wed) 05時半頃