【独】 紐 ジェレミー

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[深淵をのぞくとき――――
　とはよく言ったものだ。

　　ジェレミは大抵、
　　話すときはその感情の揺れ動きを眺めに、
　　食卓の向こうにつくその目を見ている。
　　であれば、相手がおなじく覗き込むというのであれば
　　鏡に拒まれた姿を、
　　夜の月よりも尚濃い金のなかに
　　相手自身たる影をも覗き込むことにほかならず。

　　――――眼をひらき、死んでもいない吸血鬼もまた、
　　その相手のなかに自分の姿をも覗き込んでいる。
　　とうに、忘れ、
　　虚の中になにひとつ残っていないかつての形を。]

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(-381) ghoti 2018/11/11(Sun) 17時頃