『それにしても、お若いのに、どうしてまたそんな』
[もう若くはない。生徒からは"おじさん"扱いである。返すのは苦笑。
若輩者ではあれど、新卒の若々しさが近頃では眩しく、目が眩むかと思う程だ。
一方で、確かに、自分らの年代では、喫煙者というのは少ないようだし、
今どきオイル補充の手間をかけてまでジッポを使っている人間となると、数はきっと更に減る。
だからこそ、その類の質問には慣れていて。
今回も、目を細めて、煙を燻らせ、やはり苦笑いを浮かべた。]
――格好つけたかったんです。
ほら、憧れませんでしたか、咥え煙草のダーク・ヒーローって。
もっとも、今じゃ、生徒たちには隠れて吸ってる訳ですが。
[『憧れましたねぇ』と響いた笑い声に、同調するように声を上げてみせる。
晴れやかな、高い空に吸い込まれてゆく笑い声と白い煙。
見上げて、思う。禁煙の道のりは、まだまだ遠そうである。*]
(-77) 2015/03/18(Wed) 00時半頃