――その頃、花園を騒がせた転校生は――
[葉桐夕輝は、この季節感も現実も無視した文化祭を、のんびり楽しんでいた。
特に何の違和感も抱かずのんびりできるのは、ひとえにこの事象の半分くらいは自分の力由来であることに起因するのだが。
もしそうでなかったとて、この状況を面白がるものはいても、異常と感じるものはいまい。
そういう力が、働いていた。
その力の持ち主は、今どうしているやら。
"対話"を塞がれている以上、こちらとの接触を願うこともおそらくできず、今は主がどこにいるかを自身も認識していない。
まあ、あれの求めるものは往々にして"逢魔が時"の性質によく合い、興味を引くものが多かったから、常に同行していても良かったのだが。
せっかくだから、自分の意志で、この文化祭を歩いてみたかった。]
(816) mmsk 2022/09/25(Sun) 01時頃