……いや、いい。
[>>637拒否は恐らく、シメオンも予想していただろう。しかしディーンの声には、些かの逡巡が混じっていた。
傷薬の包みを持つ手に、一瞬だけ力が籠る。
>>638ただのディーンと、シメオン。
それは互いの関係を正しく言い表す言葉だ。血縁という括りはあれども、家族というのとは近いようでいて異なる。
>>640ディーンは、ニコラの視線に軽く頷く。
血縁と、家族と、他人。
その差を埋めることが出来ないのは、ディーンもまたその差を痛感する少年期を送ったからに他ならない。
ディーンは、正しい家族の作り方を知らない。
大事にされることと大事にすることは知っているけれど。]
――……シメオンが心配になった。
そうしたら、君がシメオンと一緒にいた、から……
[>>640 灰色の双眸を見下ろしながら、問い掛けに答える。
言葉尻が消えたのは、それが問いの答えとして適当であるか分からなくなったからだ。]
(643) 2014/11/14(Fri) 23時頃