……アンク。
アンクというのかい、その絵描きは。
その絵描きにあって、ぼくにないもの……か。いや、これは素晴らしいヒントだよ。まさに啓示というやつだ。
[その絵描きの名>>542は後で検索してみようと思うも、恐らくは何も引っかかってはこないのだろう。
そして、しばらく背中を見ようとして往生際悪く彼の周りを回ったりなんだりじりじりした後、]
……ふふ。
いや、すまない。そんなに慌てるとは思わなくて。
大変だったろ? こんな学生の多いところで撮影なんて。
[背中をかばう様子がおかしかったのか、ふわりと小さく噴き出した。
それから、隣でハロルリラが名乗るのを聞いて、そういえば名乗ってなかったし相手の名前も知らないことに気付いた。何食わぬ顔で背筋を伸ばし、すっと色の白い手を差し出す。]
ぼくはニコラス。許宮ニコラス瑛二だ。
見知らぬ助言者の君。
君のことは、シシャと呼べばいいのかな?
[薄紫の目でふたつの柘榴石を見つめて、差し出した手はそのままに、細い首を傾けた。**]
(563) 2020/01/08(Wed) 01時頃