[店主は冷えたコーラをレンに渡してやる。瓶はすぐにうっすらと汗をかきはじめた。栓抜きで蓋を外す小気味良い音が聞こえる。
新聞部で真実へ嗾けたことに対し、おもんは特別後悔もなければ未練もない。全てはレンが己の欲に素直に従い招いた真実。あの暴走も、あの歌も――欲望といえば、おもんは、エロ本の中身もチェック済みだ。
さすが写真が好きとあって写真の質がいい。かつては艶本も随分嗜んだ。恋のやつふじ。三味線十二調子。恋のかけはし。十二枚組物。吾妻源氏……まあいい。男ならやっぱり肉だ!肉欲だ!]
お嬢ちゃん、お坊ちゃん。
今夜でウチの屋台はしめちまう。
そいつぁ幻のラーメンになるラーメンだ。
よく味わって食べてくンな。
[それからレンのほうを見て]
……ナニ、墓まで持って帰ってやるよ。
おめぇさんにカワイゲがありゃあね。
[とわらった。無論――エロ本のことだ。]
(557) gekonra 2018/09/26(Wed) 22時頃