[美味しそうな匂いが風にはこばれていく。
低級怪異のお客が新しく客がきたことで、そそくさとお代を置いて去り、店主は代金を受け取った。
湯気立つラーメン屋台、店主の顔は白い湯気がもうもう立ち隠れて見えにくかった。
次なるお客は若い男女。見知った学生たちだとおもんは了解する。]
らっしゃい。
[片方は、走ってきたのだろう、息をきらした雪女の怪異だった。――どうやら本当に来たらしい。おもんはにんまりと口の端をつり上げる。「おいで」と言ったのは自分だ。こうして約束を果たされるのは嬉しい。
今日の体育祭ではとある男の子にキスをされる直前茹で上がってしまってたおれていたが、その後元気に復活したようで何よりである。]
あいよ。
どれにする。
[屋台のいいかげんな作りの屋根からは、板のメニューが下げられていた。油揚げラーメン、ニンニクラーメン、たまご入りラーメン、チャーシューメン、ビールと続く。]
(526) gekonra 2018/09/26(Wed) 20時頃