>>408>>409[木漏れ日の下での眠りがラルフに取ってつかの間の安息であったのは、零れるように落ちた手を、受け止める他者の手があり、そして、セシルの膝に抱かれて眠った所為だったかもしれない。 「フィル先輩、やっぱ子守唄のほうがいいんだろうか? ラルフもそう?」 「子守唄は好きじゃない、よ。 あくまで……俺はだけ、ども。」 フィリップは分からない。その時のラルフが思い浮かべた旋律は、子守唄ではなく何故か、賛美歌312番。眠りが意識を混濁させていた。 いつくしみ深き 友なるイエスは 罪とが憂いを 取り去り給う 心の嘆きを 包まず述べて などかは下ろさぬ 負える重荷を。 与えられた慈しみには気付かぬまま、意識の無いままそれを食んだ。 ラルフは目を醒まして。──それから。]
(478) 2010/09/03(Fri) 16時頃
sol・la
ななころび
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