─ 退院後 ─
[クシャミんが退院できたのは、私が退院してからもう少ししてからのことだった。
やっぱり騙りLW─ちょっと人狼ゲームについて調べたらこういうらしい─は負担が大きいみたいだった。
私より元気で体力のあるクシャミんの退院が遅れた理由は、たぶんそういうことだろう。
一足先に退院する私に、クシャミんのお母さんは当然のように付き添ってくれる。
一ヶ月以上放置していた自宅がどうなっているかとびくびくしていたけれど、どうやらクシャミんのお母さんが世話をしてくれていたらしくて事なきを得た。
でも、ほっとしたのも束の間。
もっとちゃんとしたものを食べなさい、と叱られてしまった。
アヴァロンについても聞かれたけれど、眠っていた間のことは曖昧に言葉を濁して。
ただ、クシャミんにいっぱい助けてもらったような気がする、とだけ答えておいた。
ゲームを続けるの、と聞かれれば。
私が歩けるのはあそこだけだから、と答えた。
言葉につまるおばさんにはちょっと申し訳なかったけれど、本当のことだからどうしようもない。
ただ、気を付けて。と頭を小突かれてしまった。
──それが、退院の日の思い出。]
(464) amane 2014/06/09(Mon) 12時半頃