世界は騒がしくなりすぎた。人間は確かに多くの情報や高度な文明を手にしたが、それを使いこなせず、欲望に踊らされ続けてきた。
人間は回帰するべきだ、世界がもっと小さかった頃に。こいつら悪魔がまだ人間の近くにあって畏怖や信仰を集めていた頃のように。
確かに人間は1人では生きていけないけれど、だからといって分かり合えようもない人間と多く関わりすぎている。そこに衝突とか、征服欲とか、無意味な拡大が生まれる。
家族、友人、仲間。その程度の気心の知れた人間だけで静かに閉じた小さな円(マドカ)。全てがその環の中でまかなわれる世界。誰もそこからは出ていかず、誰もそこに入ってこない。他の人間や悪魔達も、その領分を侵さない。そんな円が無数にあって、お互いに独立した世界。
そこがきっと、人間がいつの間にか通り過ぎてしまった理想郷だと、俺は思う。
―――――それが円(マドカ)。俺の信じる理。
(462) 2010/06/05(Sat) 04時頃