[帰り道。彼女の住むマンションまで2人で歩く。いつもは歩調を奈々に合わせている遥だったが、今日は気にもかけず前を歩いている。次第に広がる距離。奈々が少し駆け足をして近寄っても、また広がる。
待って、と声を3回かけたところで、ようやく遥が気付いて立ち止まった]
あ……ごめん。
[その場に立ちすくむ。顔を覗き込まれても、背けてしまう]
ごめん、今日は…送れない。一人で帰って…。
[面接に失敗し、気を遣ってくれているのが分かってもどうにも出来なくて、彼女にまで暗い顔をさせている。みっともない。酷く惨めな気分になり目頭を抑えた]
[小さく頷き、背中を向ける奈々。数歩進んで振り返り、ばいばいと小さく手を振ってくる。明るく努めようとして、頬が強ばっているのが見えた]
……っ
[今日は彼女にも嫌な思いをさせていただろう。なのに…]
(435) k-karura 2011/03/02(Wed) 14時半頃