[もし、女の声でなくて、彼の素の声だったら。萎えただろうか、それとも……―――。考えは、そこで止まる。セシルと別れたあの瞬間も、同じ。彼に向けた表情は、まるで鏡映しに弱々しい笑み。倫理観にも段階がきっと段階があって、こえられなかったのは、行為は互いが愛し合ってという段階。] ――……はぁっ[ロザリオに視線を落として、何度目か判らない溜息を吐いた。神の教えに時折矛盾を感じて、最近良く迷う。洗濯機が回るランドリールーム。ロビンの姿があるのなら、ヘクターの姿が見えるなら、テッドは物云いたそうな視線を向けるだろう。他者は、どうやって折り合いをつけているのだろうと……。素朴でいて、聴き難い問いを胸に抱いて。]
(425) 2011/08/04(Thu) 23時半頃