そう――なら、もう一杯いただくことになりそうね。
[そう――酒の次は、血に酔う番。
ボトルが床に落ちる音、腰掛けていたスツールが倒れる音、響きだしたギターの最初の一音、セシルが着地して床が鳴らす音、そして二閃の刃が鞘を滑る音。
それらはほとんど同時に鳴り響いて、まったく出鱈目な、しかしこの瞬間にはこれ以上はないと思えるような和音と化した]
――不知火!
[数で劣って、しかも相手のホーム。
逃げるにせよ戦うにせよ、先手を取るより他にない。
左、懐から逆手で抜いた守り刀は、スツールごと倒れ込むように身体を捻りつつバックハンドでフランシスカの喉元を狙う。
右の刀は、そのまま回転してセシルの着地点あたりを下段で薙いだ。
手応えを確かめる暇もなく、両の刀を納めて跳んだ。せめて一方向に敵をまとめないとやっていられない]
(416) 2013/07/08(Mon) 18時半頃