[目を閉じれば、まだあの怪異の豪快な笑い声と、大きな太鼓の音、踊る笛の音、楽しげなかけ声が蘇る。
祭りのフィナーレは、それはそれはド派手だった。
夢のようなダンスホールで出会った王子と共にやった一本締めも、麗亜にとっては大切な思い出だ。]
………。
[中身の残ったランチボックスを閉じて、スマートフォンに触れる。
昨夜、王子の申し出を受けて連絡先を交換した。
連絡先を登録するにあたり、王子と姫ではあまりにもだったため、あわせて名も告げる。
ただ、フルネームは告げず、”れいあ”とだけ名乗った。
あの場所では真堂家の令嬢ではなく、ただの少女でありたくて。
そうすると、王子も同じように”つづり”と名乗ってくれた。
同時に、王子で登録してくれても構わないけど?と、冗談めいたことも言われて、麗亜はおかしそうに笑った。
本気で王子と登録することも考えないこともなかったが、さすがにそれはやめておいた。
が、”つづり”の読みを”オウジ”で登録しているのはここだけの秘密だ。]
(404) 2018/09/13(Thu) 23時半頃