[去り行く背中を見る事も出来ずに俯いていれば、微かに耳に届いた声>>351にばっと顔を上げる。
この声は、つい最近耳にした事のある声じゃないか。
――そう。この声は"時計ウサギ"の"アリス"の声。
嗚呼、なんてタイミングで現れてくれるんだろうか!
何事も無くこの場が収まったかと思えば、また厄介な奴が来てしまって。
慌てて声の方へと体を向ければ、何かに耐える様なその姿>>352が目に入る。
一体彼の見に何が起こったのか、ディーンに分かりはしない。
けれど尋常じゃないその雰囲気に、彼に近付く事も出来ず。
聞こえてくる言葉>>353の意味もまた、理解出来ないまま]
アリス……?
[知らず呼んだ声は、酷くか細く弱々しいもの。
けれども彼は、ディーンの存在などまるで無いものの様に消えたもう一人のアリスの方を見ていて。
その事実にざわりと煽られる不安は、掠れて喉から零れ落ちる]
(377) 2015/06/22(Mon) 00時頃