[告げられた名の数々>>347に、一瞬閉口する。"とでも"と言うのは本名でないという意か。それとも考えすぎか。
回る思考に合わせて瞳が鋭く細まり。やがて瞬きが落ちれば、唇も合わせるように回りだす。]
随分と童話染みた名前ばかりだね、お兄さん。
しかも、お似合いの赤頭巾に掠りもしない物ばかり。
ま、そうするよ。ヤニクさん。
…あぁ。念を押しておくけど、――噛まないでよ?
[「角を噛みたい」とシェパードに言われていた事を思い出せば、眉根を寄せて、口を尖らせる。いざとなったら地を蹴って逃げるけど、と呟くは胸の中。
シェパードとはまた少し違った印象に、一間視線を宙へ向け、鼻から細い息を零す。相手が角に驚く様に気づけば、傾げた首を更に傾げた。]
何せ、隠せるほどのフードも、着ぐるみも無かったから。
……好きでこうしているわけじゃないよ、一応。
見ての通り、俺は鹿。――で? 赤頭巾のヤニクさんは?
[――そういえば、あの人は耳が……それはつまり?
ふと眉尻を持ち上げ、訝しみを込めて相手を見遣る。不思議な人ばかりに縁が出来る、とマフラーへ埋めた嘆きは仄かに高い。]
(366) 2014/10/04(Sat) 20時半頃