―商店街―
[本屋の店主はたまたま奥に引っ込んでいるのか、それとも別の理由かで会う事は無かった。
誰もいないカウンターにそっと不在票を置いて、また後日届けに来ようと安易に考える。
その後足を運んだ花屋は、またも『Clause』の単語を讃えていた。
いつもはこの時間帯まで空いていたはずなのだが、店員が体調でも崩したのだろうか。
その店の中で響こうとしている青い水音は、人間の耳には届かない。
商店街の軒下すれすれ。
淀んだ空の何処からか、巣への帰りを急ぐ小鳥の声がする。
早くお家に帰りなさい。ただいまと囀ってくれる愛するひとががいる家に。]
……………。
[雨がまだ地面を叩いているのを見つめながら、雨足が遠のくまでボンヤリ待ちぼうけでもしていよう。]
嘘つきの言う「また今度」は信じちゃダメね。
[此処で誰かを待つ約束なんて、一つもしてないけれど。*]
(364) 2014/10/06(Mon) 23時頃