― 中庭・薔薇園での饗宴 ―
[セシルであってそうでない存在は、実はそこまで強くないセシル自身を裡に閉じ込める。
大事なものを紛失したと、セシルは思っているけれど、それは青薔薇が、心の箍になるそれを嫌っただけの話。
セシルの意識を時折のっとりながら、ハーモニカは、彼の記憶の見えない場所、ランドリーの使われていない古い洗濯機に放り込んだ。
あとは、よりのっとりやすい夜を待っていたのだ。]
ドナルド……ユーリィ……
楽しそうだね?気持ちいい?
[青白い月が出れば、青薔薇は月明かりを吸い込んで笑む。
妖艶な笑みは、元の少年の端整さを引き立てて、でも元の少年は出さなかった笑みだった。
ドナルドも、こちらに気がついただろうか。
ユーリィに、彼を放しちゃ駄目だよ、というと、ユーリィは喘ぎながらも、こくりと頷く。]
ドナルド…駄目だよ、激しいばかりじゃ。
(362) 2010/09/05(Sun) 15時半頃