[" ヘイオロトープ "という名を掲げる花の、花言葉はなんだっただろう。
男の手の中で揺れる葡萄色の泡が弾ねる。
目が合った金髪の彼>>342は僅かに目礼をしただろうか。しかし今そちらを見ていると呼びかけてしまいそうで視線を逸らす。
必然的に、男>>347>>348>>349>>350と目が合っただろう。]
ケーキもクッキーも甘くて素敵ね。でもどちらもすぐに無くなってしまうわ。
無価値だなんて思ってないわ。
手紙は、食べても、美味しくないけれど……無くなる事なんてあり得ないじゃない。それは、確かに現実じゃない。
嘘はいや。ただ、手書きの手紙を貰える人は素敵な人よ。
平気で嘘を吐ける言葉の羅列でも、待っている人がいるから届けるの。
[もしかしたら、手紙の差出人は受取人の恋人、友人、両親、大切な人。
その人たちが遠く遠く手が届かない場所に行ってしまったら、私が手紙を届けるの。
そしていつか、その中に私の手紙も見つけたいわ。
……なんて、考えていたら心の間欠泉が目から吹き出しそうだ。
顔を俯かせて気持ちを誤魔化してみる。あちらこちら、行く場所が定まらない様子の男には苦笑を一つ。]
(362) 2014/10/02(Thu) 20時半頃