─ソフィアの店にて─
[───翌日。
街中にある貴族が集うサロンに、流行りの娯楽小説の新刊を何冊か届けた帰り道にソフィアの店に立ち寄る。
容態を聞くと、店の主人は苦笑を交えながら、今日も何やら元気に飛び出していったと語った。
向かった先は広場のようだが、目的まではわからない。同時に、店中のほとんどの包丁が無くなっていて困っている、とも]
包丁…?
[穏やかではない響きに軽く眉を寄せる。
まさか、昨日自分を襲った暴漢に復讐するために出て行ったのだろうか?しかし、店主の話を聞く限りでは、彼女は普段通りに元気で思いつめた様子もなかったという]
……、えーと…これはお見舞いのつもりだったけど…。
[手にした荷物の中から、手のひらに乗る瓶を取り出し店主に渡す。
ここへ立ち寄る前に通りがかった市場で購入したものだ。中身は、記憶が正しければ彼女が好きな果実のジャムだ。
店主の礼に笑みを返し、贈り物を託すと店を後にする]
(361) 2011/11/06(Sun) 00時頃