[思わず続けた言葉に歪む、その顔に。唐突に顔を伏せるその所作>>346に、それを追う事も出来ずに。
だけれど、一度決めてしまえたのなら。彼には申し訳ないけれど…少々、吹っ切れはしただろう。
戸惑いながらも告げた言葉に、再び上がったその顔に。少しばかりの嬉しさを覚えた事など、知らせるつもりも無いけれど。]
――……そう、言ってくれる気は…していたよ。
[何だって、捨てても良いと。その言葉はきっと、演技でも何でも無いのだろう。だから男も心のままに、酷く自惚れた言葉を吐いて見せはしただろうか。
その言葉を聞きたくて――そして、聞くのが怖かったのだと。そんな情けない言い訳は、胸の内だけに。]
お褒めの言葉、痛み入るよ。
…こんな狡い"オジサン"にひっかかってしまった君には、少しばかり同情する。
[慈しむような口振りで、此方の名をなぞる彼の唇>>347に。言葉には皮肉を、だけれど向ける眼差しには…愛おしさを込めて。
そうして返された、演技では無い微笑みには、男もまた漸く安堵の息を吐いて見せはしただろうか。
"答え"は、どうやらこの場では貰えないようだけれど。だがそれは、此方とて同じ事。]
(358) 2014/10/06(Mon) 23時頃