……あら、アタシの舞台、そんなに気に入ってくれていたの?
嬉しいわ。またきっと、来てちょうだいね。
[まるで子供が褒められたみたいに幼く、ジャニスは笑った。浮かべる笑みは、酷く嬉し気だったろう。
けれど肩が引かれれば>>367、興が削がれた様に微かに眉を寄せた。自分達の立っている場所なんて、ジャニスの意識の範疇外にあったから。
渋々ながらも脇に退き、続けられた言葉には頭を振った。今日のジャニスに目的地なんか無い]
アタシ、舞台以外に興味なんて無いもの。
行きたい所なんて、無いわ。
[寧ろ目の前の紳士の方こそ、何処かへ向かってる途中だったのではないだろうか。そうは考えても、呼び止められた手前、ジャニスがそれを尋ねる事は無かったが]
嗚呼、そうそう。また舞台に出る時は、特別に教えてあげる。
――はい、コレ。
[胸ポケットから名刺を取り出せば、相手に向かって差し出してみせる。
ご贔屓にしてくれる観客であれば、媚を売っておいて損は無い。中々身なりも良いし、そういう相手とコネを持っておくのも悪くないだろう]
(357) 2014/10/02(Thu) 20時頃