[木漏れ日があたり薄く開いた目蓋。身体はじんわりと微熱を持ち、眠りの波が訪れる。ランドリールームで気になっていたセシルのつむじに指が伸びそうになる。ディーンの絢爛とした金糸よりは、気安く感じられるセシルのクルクルと巻いた癖っ毛。]
──……
俺 は、
嗚呼、
[昨夜もそうだったけれど、自分は庇護欲で手を伸ばしている訳では無いのだと思う。また、庇護されたいのではなく。
──ひとに ふれたい。
──触れられたい。
髪をやさしく梳くのでは無く、くちびるの輪郭をなぞるだけではなく。もっと、恐ろしい事を。と言う声は呟きに成らず、セシルの髪に触れようとした腕はようやく到着した睡魔の所為で、中途半端な場所に落ちた。
セシルの上、だけれども髪でも唇でもない、顔の上の邪魔な場所。そしてラルフは、つかの間の夢も見ない眠りの中へ。]
(354) 2010/09/03(Fri) 01時半頃