……あぁ、確かに君は"イカれた"帽子屋だろうな。イカれ具合がピカイチだ。
素敵なもてなしを有難う。偶然だね、今日は私の、"誕生日じゃあない日"でもある。
――"A very Merry Unbirthday to You"!
共にこの素晴らしい"何でもない日"を祝おうじゃあないか?"イカれた帽子屋"さん。
[挨拶と共に飲み物を受け取ろうとはしてみたけれど、さてこの"イカれ帽子屋"は飲み物を渡してはくれたろうか――男の知っている"アリス"は、結局お茶を口にする事は出来て居なかったものだから。
そうして、もう一つ。彼の口から紡がれた"名"に、男は小さく眉を上げる。
――"サイラス=K=ヘルシング"。嗚呼やはり何度思い返しても記憶には無い名だ。
……どうして。どうして自分の夢であるこの世界で、自分の知らない名が出て来るのか。そんな膨らむ違和感は腹の底に押し込みながら、失礼にならない程度に相手の姿を観察する。]
(354) 2015/06/20(Sat) 00時半頃