[――わけが分からない。
ついさっきまで、ため息が吐きたいだなんて言っていた癖に。
どうしてそんな相手と手を繋ぐ事が出来るんだ。
落ち着いてからもその手を振り払う事は出来ず、ただ彼に引きずられる様に歩き出しながら。
そんな自分が恥ずかしくって、朱の乗りそうになる頬を持て余し]
……ッデレた覚えは……な、い、
[それでも"ツンデレ"などという不名誉な呼称には、全力で不満を訴えておこうか。
そう思ったのに、先程とは違う、何とも豪快な笑みを見せられれば、思わず気勢が削がれてしまって。
尻すぼみになった言葉は、随分と情けなく響く]
――……ディーン。
ディーンだよ、"シュゼット"。
[はて、さて。
この"夢"の中で、名を名乗るつもりなど毛頭無かったのに。
それでも素直に答えてしまったのは、相手が"女王様"だからだ。……別に、それ以外に理由なんてありはしない]
(348) 2015/06/20(Sat) 00時半頃