― 和菓子屋→高校前 ―
[彼女は花籠を両の手に抱え微笑みました。お礼の言葉は、如何やって届けようか、思考の先に考えあぐね、またいつか此方から手向けようとプレゼントを考え始めるのです。にんまり顔のチェシャ猫さんに似合うもの。洒落た靴しか思い付かないけれど、きっと彼に靴は要らない。
滴り雨は学生の頭を、肩を濡らしました。軒下を渡り歩くでもなく、堂々往来に足音を紛れさせては、すれ違う人から時折怪訝そうな目を向けられることも。機嫌良さそうに歩くその姿は、雨に濡れて喜んでいるとでも受け取られることもあったでしょう。]
雨雨降れ降れ、母さんが…
蛇の目でお迎え、…嬉しいな。
[歌う口はその侭に。そして多くなった荷物も、雨に濡れる自分も、花もそのまま。直に約束の場所へと足を落ち着けたのなら、後輩へとメールを送りました。]
(331) 2014/10/06(Mon) 20時半頃