[信じる――……その言葉を受けた時の、ディーンの表情は裡を隠すような聖者の微笑に似て。頷きはしないものの、その微笑で、信じれば佳いと促すは、まるで悪魔のよう。]
おや、戻ってないのか……―――
[ベネットを撫でていた手、そのうちの中指をくの字に曲げて、何か考え込むように唇の下に当てる。裡で考えるのは、ベネットの首筋に紅を這わせたのはサイラスでないだろうということと、流石にあれだけ釘をさしていたのだから、ロビンには手を出してないと願う――まだ、小指の爪の先ほどの信用の気持ち、逆に99.9%を占める疑い。ややあって]
流石にサイラスも、
あの状況のロビンを放置するとは思えないのだがね。
あまりに調子が悪いようだったら
麓の診療所まで
ロミオ医師を呼んでこようかとも思ったのだが……―――。
まぁ、あの先生だと、若い者は寝とけば治るで終わりそうだが。
[彼の老医師の人柄を思い起こし、溜息を一つ。]
洗濯物を済ませたら、シャワーの前にロビンを見に行くかな。
[そしてベネットに向けるというわけではない、独り語とを一つ。]
(329) 2010/09/07(Tue) 12時半頃