――園芸部室――
[裏庭に行く前に、部室へと向かっていた。
右手はそのままに、左手にはソフィアに押し付けられたハンカチを握って。
幽霊部員だらけなだけに、一匹狼を気取って何をやろうと何も干渉されることがない園芸部は、
ある意味天国のようなものだった。ましてや、部室ともなれば、自分以外ほとんど使うこともない、
まさしく自分だけの城のようなもの。
気分を落ち着けるには、最適の場所だった]
……ん?
[最後に整理した時から比べて、何かが違う。
改めて見返してみれば、見覚えのない桜色のメモと、キーホルダー。
女の子の筆跡に見えたが、名前はない]
ちゃんと使い方、わかったのかなあ。大丈夫ならいいけど。
[キーホルダーを指にひっかけて、くるくると回して。
ふと思いついて、今の携帯のストラップと交換する。木彫りの桜なら、
桜だからと言い訳も聞くだろう、と思った]
(327) 2010/08/03(Tue) 12時頃