"Lukas Valery"
[男の独特な字で書かれた、その全ての名と共に。]
知りたがっていた、Vの続きだ。
俺を識別するのには必要無いだろうが…"探す"のには、必要だろう?
[差し出した紙は、果たして受け取っては貰えただろうか。男はやはり戯けたように言ったなら、握る手に力を込めて、そっと目を伏せはしただろうか。]
さて、他にはどんな話をしようか。
夜が明けるまで、俺の時間は全て君のものだ――君の時間も、そうだろう?
[柔く、柔く笑いながら。彼に対して、他の何も隠す気など無いと言わんばかりに、繋いでいない方の手を軽く上げて見せて。そうして、握った手を引く事が許されたのなら、仄かに赤ののった彼の指先に唇を当ててはみただろう。]
残念ながら、今日は月が出てはいないが…なぁに、君への想いを月になんて誓ったりはしないさ。
君もそれは嫌だろう――"ジュリエット"?
[そんな、何とも"可笑しな"台詞と共に。]
(326) 2014/10/06(Mon) 20時頃