…………これでクリア、だよね?
[それから秒針が何周した頃だろうか。
最後の蛙に私か兄かが止めを刺して、黒い羽根と仮面が印象的な彼の方へと視線を向け、見えない壁は消えただろうかと様子を窺ってみる。]
―――………、
[答えを待つ間、ふと思い立ってキュロットのポケットの中に腕を突っ込んで、2本の棒付き飴を取り出して。
“わー”と平坦な歓声を。手にしているのは生前よく口にしていたチョップチャプス。
チョップされたような衝撃的な甘みが特徴で、何よりも棒付きで食べながらゲームが出来るという画期的なお菓子なのだ。]
…………、
…………、い、いる?
[おずおずと俯いたまま飴を持つ腕を仮面の彼に伸ばしてみるが反応はどうだっただろうか。
変な蛙を操っているし、背中から羽根も生えている。
でも彼の背丈を見れば年上には見えなくて、つい子ども扱いしてしまいたくなる。
きっと“小さい子には優しくしなくちゃ駄目”なんてママの言い付けの影響に違いない。]
(324) 2015/03/06(Fri) 00時半頃