[一刻も早く連れ戻せという命令に背いているのは、
《雫》が不安定なままカギ《ヴィト・プエルタ》に触れさせたら
盲目の世界《アンダカ》への扉が開かれてしまうと知っているから。]
自分たちの目的を急くが故に、なにも《イデア》の目的を実現させることになっちまうなんてなあ。
頭のかったーいお方達はどこまでおばかさんなのかね。
俺様の上司ながら、反吐が出る。
それに、あのガキの利用価値が一回だけになっちまうのも勿体無いからな。
[そしてもう一つの理由は―カギ《ヴィト・プエルタ》の保護。
不完全な《雫》に取り込まれてしまうのを阻止するため。]
なんで俺様があんなガキの命護るために……―。
[思い切り不服そうに吐き捨て、ひと思いに上空へと飛び上がる。
そのまま地上を見下ろし、腹ごなしできる場所を探す。]
(323) 2010/09/14(Tue) 23時半頃