[導かれるようにドアをくぐると、広がるのは酒場であった。
カウンターや、テーブル席。ダンスフロアはあの賑やかなハロウィンを思い出させる。]
ああ、勿論。
勉強したよ、色々と。
[冬が過ぎ、春が来るまで。宿題は長期的に計画を立て。
あのキスシーンを目撃した酒場のマスターは、やや苦笑しながらも「小悪党だったもんな」と男の背を叩いて、以前と変わらず接してくれた一人であった。
マスターが教えてくれたのはベーシックなものが殆どであったが、シェイカーが手に馴染むようにと何度も何度も繰り返し作るようにと教育された。]
……準備、してくれたのか?
[陽の下が歩けなくなろうと、眩しい緋色があればいい。
それでも会えなかった合間、彼が自らを思ってこの場を用意してくれていたのなら——想像以上に、想いは似ていたらしい。
伸ばされた手を取って、引き寄せた。]
(323) oranje 2014/11/03(Mon) 22時半頃